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音楽受容スタイルの変容 [戯言(音楽)]

昨日に続き下記リンク先記事について私見を記します。

音楽専門学校の講師を激怒させた「あまりにも酷い生徒レベル」

では2点目の、生まれてからこのかた音楽ソフトを購入したことの無い生徒がいた件について。

講師の方が「じゃあ音楽を何で聴いてきたの?」と問うと、「YouTubeです」と堂々と答えられ、「これまで人生で音楽に1円も使ったことがない人間が、どうして音楽で食べていけると思うのか!」と激怒したと。

うーむ。うーむ。

あのですね、YouTubeが普及した十数年前から、こんなことずっと指摘されていたじゃないですか!

若者が音楽ソフトを購入しなくなった大きな原因の一つとして、YouTubeで無料で音楽聴取が可能になったことが…

今さらそんなことで激昂されてもねえ…

あと、怒りの矛先を向ける相手を間違えてはいませんか?

ここで指摘しておきたいことは、YouTubeの普及以降、無料あるいは廉価な定額制で好きな音楽を好きな時に楽しめるサービスが拡がっていることです。

つまり「音楽受容のスタイル」が大きく変化しているのです。

音楽を「所有」することから「利用」することへと受容のあり方が大きく転換しつつあるのです。

「これまで人生で音楽に1円も使ったことがない人間が、どうして音楽で食べていけると思うのか!」

本当にそうなんでしょうか?

確かに今時の若者達は音楽をCDで購入したり、ダウンロード購入したことはないのかもしれない。

でも、アニメのDVDやゲームソフトに付随する音楽には音楽著作権使用料が発生してますよね。

あと、カラオケにも…

現に「カラオケの点数が良いから歌手になろうと思った」生徒がいるって書いてあるじゃないですか。

アニソン歌手が好きな生徒はアニソン・イベントに、ニコ動の好きな生徒はコニニコ超会議などの関連イベントに出かけて、お金払って音楽を享受しているかもしれないじゃないですか!

ケータイ・スマホの着メロやゲーセンの音楽ゲームからも音楽著作権使用料は徴収されていますし…

そんな生徒たちに向かって、「これまで人生で音楽に1円も使ったことがない人間」なんて失礼なことを、よく平気で言えますよね。

つまり、この講師の方の知らない音楽享受の経路を通じて音楽にお金支払っているだけなのではないでしょうか?

音楽ソフトを購入する以外に音楽享受のスタイルが多様化していることに気が付いていないんじゃないでしょうか?

昨今よく指摘されるのが、パッケージ化されたソフトの購入からライブやフェスなどでの音楽体験を重視する体験型へと、音楽消費のスタイルが変化しているということです。

マーケティング感覚に優れている音楽業界人なら、このような劇的な変容に対して次の一手を打ってしかるべきでしょう。

音楽ソフトの購入額が年々減っている(ように見える)大きな原因の一つとして、インターネット普及後の音楽受容スタイルの変化を「音楽を含む消費」へと転換させることに、いまだ有効な手立てを見出していない業界人の怠慢さが挙げられると思います。


さて、この話題、あともう一回だけ続けます。
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