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音楽愛好家の思い上がり? [戯言(音楽)]

はい、皆さん、今晩は!

今夜も「面倒かつ痛い五十路」の私が、「東京の地方都市」よりお届けします。

さて、今宵、俎上に載せるのは、ネットで目にした下記インタビュー記事です。

「音楽がわからないやつは世の中のことがわからない」と僕は思う

「音楽好きにありがちなドグマですが、「音楽がわからないやつは世の中のことがわからない」と普通に思っていたりいます。」

いやはや、音楽好きの一人としては喝采を叫びたいし、面映いし、なんだか微妙な気持ちです。

「世の中で起きる変化というものは、特にデジタル以降のテクノロジーの分野においては、音楽が最初に直撃するんです」
「音楽を出版や映画が後追いして、その後にものすごく遅れて重工業や他の業界で同じことが起こっていく。だから、時代の試金石として音楽を見るべきなんです。」

うーむ。

これって、インタビュー受けている方の「感想」に過ぎませんよね?

上場企業の化成品メーカーに勤務している私個人の「感想」としては、高度成長期に「重工業」に分類されていたこの業界で構造変化を起こしつつあるバイオマテリアル・バイオミメティクスなど「生物規範工学」が、音楽に起きている変化とやらを後追いしているとは、とても考えられませんが…

もし、音楽が生物規範工学を先取りしているのなら、具体例を挙げてみて反証してくださいね!

さて、先に引用した、「音楽がわからないやつは世の中のことがわからない」…

この種の言説の問題点の一つは、「音楽」の箇所を他のジャンルに入れ替えてみても、論述として成立してしまうことです。

試しに列挙してみましょう。

 「建築がわからないやつは世の中のことがわからない」
 「演劇がわからないやつは世の中のことがわからない」
 「映画がわからないやつは世の中のことがわからない」
 「マンガがわからないやつは世の中のことがわからない」
 「アニメがわからないやつは世の中のことがわからない」
 「ラノベがわからないやつは世の中のことがわからない」
 「アイドルがわからないやつは世の中のことがわからない」

このあたりは、各種表現ジャンルの業界内で、暗黙の共通認識として通用していても、おかしくはないですよね?

自分が思い入れのあるジャンル・対象にあまり関心のない他者を上から目線で否定する。

まあ、よくあることですよ。

更に続けますよ。

 「帝国憲法がわからないやつは世の中のことがわからない」
 「カレーライスがわからないやつは世の中のことがわからない」
 「ラーメンがわからないやつは世の中のことがわからない」
 「ミミズがわからないやつは世の中のことがわからない」

「帝国憲法」云々は、保守派の憲政史家が、実際にそのように主張されています。

「カレーライス」云々は、西欧列強のインド植民地支配とその抵抗運動の一齣として重要な役割を担っています。
(「恋と革命のカリーライス」!)

「ラーメン」云々に関しては、食品名と土木工学の用語とで紛らわしいのですが…

前者だとしたら、食を通じた中華文明の世界進出の考察に及びます。

後者だとしたら、ドイツ語で「額縁」を意味するこの工法に抜きには土木建築は成り立たないでしょう。

さて、私個人が一押しなのが、「ミミズがわからないやつは世の中のことがわからない」。

土壌、ひいては地表の生態系の維持に、ミミズさんたちがどれほど貢献していることか!
【参考】大型土壌動物(ミミズ)による土壌浄化の可能性

しかも環境負荷の高い物質を植物が浄化する前段階で低負荷化する事例も報告されているではありませんか!
【参考】重金属を食べる“スーパーミミズ”発見

「音楽好きにありがちなドグマですが、「音楽がわからないやつは世の中のことがわからない」」と発言されるのは、大いに結構。

でも、人類登場以前から地球の生態系維持に貢献されているミミズさんたちのことも、少しは理解してあげた上で、一歩どころか数万歩引いた地点から、発言して下さいねえ…


【追記】
4月刊行の初の著書『さよなら未来 エディターズ・クロニクル 2010-2017』(岩波書店)を読めば、著者の若林恵氏が、ミミズさんたちを差し置いて「音楽を宣揚する」理由が理解できるかもしれないので、今月末にボーナスが支給されたら購入してみます。
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